2025.12.11
「入札単価を上げても、なぜか広告が表示されにくい」
「広告のクリック単価が高騰し、利益が圧迫されている」
楽天市場やYahoo!ショッピングで広告運用をしていると、こうした悩みにぶつかることがあります。
設定の見直しやキーワード調整に目が向きやすいものの、実は運用成果に大きな影響を与えるのが「広告画像(クリエイティブ)」です。
媒体のアルゴリズムでは、画像のクリック率(CTR)が広告の評価指標や配信効率に直接影響します。
つまり、見られる設計になっていないバナーは、いくら出稿してもクリックされず、費用対効果を悪化させてしまう要因になり得るのです。
この記事では、CTR向上・CPC抑制を実現する広告クリエイティブの考え方と、効果検証まで見据えた制作プロセスを詳しく解説します。
広告効果が伸び悩んでいる方や、画像改善の方向性に迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
【本記事でわかること】
◎広告クリエイティブがCTR・CPCに与える影響
◎検索意図と掲載面に応じた見せ方
◎競合比較・ABテストで改善を重ねる方法
◎CTRが向上した実際の成功事例
目次
広告クリエイティブが運用成果(CTR・CPC)に与える影響

モール広告に使われる画像には、商品ページ内の画像とは異なる役割があります。
商品ページでは「購入を後押しするための情報提供」が求められますが、広告画像の目的はできるだけ低コストで、質の高いアクセスを集めることにあります。
まずは、広告クリエイティブが広告配信の仕組みにどう影響しているのか、そのロジックを整理しておきましょう。
クリック率(CTR)と「広告の品質評価」との関係
楽天RPP広告やYahoo!アイテムマッチでは、広告の掲載順位は入札単価だけでなく、CTRやCVRといった広告の品質も加味して決まるとされています。
クリック率(CTR)は特に大きな影響を与えるとされており、よくクリックされる広告ほど、媒体側から「ユーザーに有益」と評価される傾向があります。
その結果、同じ入札単価でも表示順位が上がったり、より少ない費用でクリックを獲得できたりするケースも少なくありません。
つまり、画像の改善でCTRが高まれば、CPCを抑えることにもつながるというわけです。
広告クリエイティブは自然検索にも波及する
広告クリエイティブの効果は、広告枠内の成果にとどまりません。
たとえば楽天市場では、広告経由のアクセスや購入も「商品自体の評価」に加算される仕組みになっていると考えられています。
CTRが高いクリエイティブで効率的に流入を増やせば、売上やアクセス実績が蓄積され、商品スコアの向上→自然検索順位アップにつながる好循環が期待できます。
広告がトリガーとなってオーガニック流入が増える仕組みを意識することが、モール内での競争力を高めるうえで重要です。
広告とランディングページ(LP)の一貫性がCVRに影響
どれだけクリックを集めても、遷移先の商品ページと訴求内容が合っていなければ、ユーザーはすぐに離脱してしまいます。
たとえば広告で「ポイント10倍」「期間限定セット」などを打ち出しても、LPですぐ確認できなければ期待外れとなり、直帰率の増加・広告費のロスにつながりかねません。
また、ユーザー行動が低評価とみなされれば、広告効果だけでなく商品全体のスコアにも影響する可能性もあります。
そのため、広告で打ち出すメッセージと、LP上での体験に一貫性を持たせることがROAS(費用対効果)改善の基本です。
モール内広告で成果を出すためのクリエイティブ設計のポイント

広告クリエイティブで重要なのは、美的センスや装飾性ではなく「媒体ごとの特性に合っていること」と「検索意図にしっかり応えていること」です。
お客様がどのような状況でその画像を見るのか、逆算して設計する必要があります。
1. 掲載面に合わせてデザインを切り替える
広告が表示される場所によって、ユーザーの心境も目的も変わります。
そのため、同じ商品でも掲載面に応じて見せ方を変えることが大切です。
◎検索連動型広告(楽天RPP、Yahoo!アイテムマッチなど)
検索結果一覧に並ぶこれらの広告では、ユーザーはすでに比較検討の段階に入っています。
似た商品がずらりと並ぶ中で選んでもらうには「ほかと違う理由」がひと目で伝わるかが大切なポイントです。
| 【比較軸として有効な情報】 |
| ・価格:商品選びで最初に見られやすいポイント ・レビュー評価:信頼性や満足度を示す社会的証拠 ・販売実績:売れているという安心材料 ・受賞歴:権威性や品質を視覚的に伝えやすい要素 |
また、アイテムマッチ広告はバナーではなく商品画像そのものが広告として表示されるため、商品登録の段階から設計を意識しておくことが重要です。
◎ディスプレイ広告(楽天TDA、特集バナーなど)
トップページやイベント会場に表示されるディスプレイ広告では、ユーザーはまだ購入を決めていないことがほとんどです。
ここで求められるのは、「なんとなく気になる」「見てみようかな」と思わせるきっかけづくりです。
| 【感情を動かしやすい要素】 |
| ・セール訴求:お得感で注意を引きやすい ・クーポン:今見ないと損と感じやすい ・季節感:トレンドやイベントと結びつけて想起させる |
掲載面ごとに役割が異なることを踏まえて設計しておくと、広告のハマり方は大きく変わります。
2. 検索キーワードに「答える」視覚設計
ユーザーが入力する検索キーワードは、その人が今まさに求めている「問い」です。
広告クリエイティブには、その問いに対する答えを視覚的に示すことが欠かせません。
たとえば「母の日 ギフト」で検索したユーザーに、ただ商品画像だけを見せても反応は伸びにくい傾向があります。
代わりに、画像内に「母の日ギフト」と文字を添える、カーネーションを背景に入れる、ラッピング済みの箱を写すなど、ギフト文脈がひと目で伝わる工夫を加えると、クリックされやすくなります。
ユーザーはスクロールの中で一瞬の直感で判断しています。
だからこそ、検索キーワードとクリエイティブの一致度を高めるほど、「これを探していた」と認識してもらいやすくなります。
3. 要素を詰め込まず、ひと目で伝える設計に
スマホで広告をチェックする人が多い今、情報を盛り込みすぎた画像は、意外と伝わりにくいもの。
限られた表示領域では、伝えたい内容をひとつに絞って大きく見せるほうが、結果としてクリックにつながりやすくなります。
| 【設計のポイント】 |
| ・商品の形が魅力なら:商品を大胆にトリミングして大きく配置 ・価格を押したいなら:商品を小さくしてでも価格文字を画面の半分サイズに ・数字で示せる強みがあるなら・:ランキングやレビュー評価など数字を主役に |
複数の要素を並べると、すべてが小さくなって印象に残りません。
このバナーで何を一番伝えたいのか、たった一つに絞って強調することが大切です。
具体的な「売れる商品画像の作り方」を知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
▶【楽天・Yahoo!】センス不要!売れる商品画像の作り方!CVRを劇的に改善するデザインとは
クリック率を高める制作プロセスとPDCAの回し方

運用の中で検証と改善を重ねながら精度を高める姿勢が欠かせません。
クリック率やCPC、最終的なROASといった指標を追いかけつつ、次の3つの観点でPDCAを回すことで、徐々に勝ちパターンが見えてきます。
1. 競合リサーチによる相対評価での差別化
最初に取り組みたいのが、実際の検索結果画面の競合調査です。
広告は単体で評価されるのではなく、常に「どの商品と並ぶか」という相対的な見え方でクリックの有無が決まります。
たとえば、検索結果に赤系の画像が多いなら、あえて青や白を使うことで視覚的な違いが生まれ、目に留まりやすくなります。
反対に、他社が文字を多く載せている場面では、商品写真のみのシンプルな構成が新鮮に見えることもあります。
このように、意図的に「埋もれない適度な違和感」を作り出すことが、リサーチの大きな目的です。
2. ABテストにおける変数設定のルール
思いつきでデザインを変えても、なぜ成果が出たのかが分からなければ次に活かせません。
広告効果を正しく検証するには、テストする要素を1つに絞ることが基本になります。
NG例:画像も文字もすべて違うB案を出す→どの要素が効いたか判断できない
OK例:キャッチコピーは同じまま「商品単体画像」「使用シーン画像」だけで比較
このように、1つの要素だけを変えてテストし、勝った要素を積み上げていく手法が、改善の再現性を高めます。
また、事前にどの指標を重視するのか(CTR/CVR/ROASなど)を決めておくと、評価基準がブレません。
数十クリックなどの少ないデータでは誤差も大きいため、一定以上のインプレッションやクリック数が蓄積された段階で評価するのが理想です。
3. クリエイティブの鮮度を保つ仕組み
どれほど仕上がったデザインでも、見慣れてしまえばユーザーの反応は徐々に弱くなります。
こうした「広告疲れ」を防ぐには、定期的な差し替えを前提にした運用が欠かせません。
特に楽天市場やYahoo!ショッピングでは、スーパーSALEや季節イベント、お中元・クリスマスなど、時期によってCTRが大きく変動します。
イベントに合わせてコピーや色味、装飾を入れ替えていくことで、常に新鮮さを保ちやすくなります。
なお、毎回すべてを作り直す必要はありません。
レイアウトや構図はそのままに、季節感のある写真や文言だけを差し替えるだけでも十分に効果が期待できます。
広告クリエイティブは完成品ではなく、差し替え前提の消耗品として扱うことが、長期的な成果につながるポイントです。
ファイブスプリングスの事例に見る広告クリエイティブ改善の成果

広告クリエイティブを改善し、実際に成果につながった3つの事例を紹介します。
【アクティブウィナー様】動画・静止画の併用と検索意図の反映
課題:楽天市場への新規参入にあたり、ブランドの世界観を守りつつ、モール特有の「売れる文脈」への適合が課題でした。
施策:競合レビュー分析から「ユーザーの検索意図」を特定し、それを動画と静止画クリエイティブの双方に反映させました。
成果:視覚的な分かりやすさとSEO対策が噛み合い、立ち上げわずか3ヶ月で楽天ランキング1位を獲得。動画活用による滞在時間向上も寄与し、昨対比400%の売上成長を実現しました。
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▶売れ筋商品ページのブラッシュアップ、市場の需要を読み取り売上シェアを拡大
【米屋かたぎり様】競合分析に基づく「勝てる商品」への集中投下
課題:競合商品が多く、広告を出しても埋もれてしまい、主力商品の売上が伸び悩んでいました。
施策:「価格」「品質」「レビュー評価」で優位性を確保できる商品を特定し、その商品に絞って広告クリエイティブを刷新。「選ばれる理由」を明確に伝える構成に変更し、広告予算も一点集中で投下しました。
成果:転換率が高まった状態でアクセスを集めることに成功し、ご契約から4ヶ月で月商10倍を達成。選択と集中による効率的な運用の成功事例です。
サポート実績の詳細はこちら
▶顧客分析・競合分析を活かした作り込み、広告運用で4か月で月商10倍に
【自社運営Hariti】潜在ニーズ(ギフト)の可視化と利益重視の運用
課題:ECサイトをゼロから立ち上げるにあたり、ブランド認知の獲得と利益率の確保を同時に叶える運用設計が必要でした。
施策:競合が手薄だった「ギフト需要」に着目し、広告クリエイティブで「贈り物に最適(ラッピング無料)」であることを強調。運用面ではRPPのCPCを細かく調整し、無駄なクリックを削減しました。
成果:ギフト需要を起点とした新規顧客の獲得とリピート化に成功。営業利益率15%以上を確保しながら月商8,000万円規模への成長を遂げました。
詳細はこちらの記事もご覧ください。
▶【ECサイト成功事例】オープン1年で月商8000万円突破!売上アップのコツを紹介
まとめ:データに基づくクリエイティブ運用で広告効果を最大化へ
広告クリエイティブの改善は、デザイナーだけで完結する業務ではありません。
運用担当者が CTR・CPCといった数値と競合・検索意図などの市場情報を正しく読み取り、判断に落とし込めるかどうかが成果を左右します。
特にモール内広告では、以下の4つの視点を押さえておくことで、クリック率や費用対効果(ROAS)が改善しやすくなります。
| 【運用で重視したい4つの視点】 |
| ①アルゴリズムを理解する:CTRが高い広告は、質が良いと評価されやすい ②検索意図に合わせる:ユーザーの問いに対し、画像で明確な答えを示す ③相対的に評価する:競合の中で視認性や訴求が埋もれていないかを確認する ④テストを積み重ねる:要素を一つずつ検証し、効果の出た型を増やしていく |
制作と運用が連動すると、改善のスピードが大きく変わります。
「社内だけでは改善に限界を感じている」「正しい方向性で作れているか不安」といったお悩みをお持ちの方は、ぜひお問い合わせページからお気軽にご相談ください。
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太田 薫(おおた かおる)
株式会社ファイブスプリングス 代表取締役
元楽天ECコンサルタント、その後楽天MVP獲得店舗の統括部長。 ■無料相談■ |



















