2025.12.03
楽天市場で売上を伸ばすには、「まず商品を見てもらうこと」が何より大切です。その入口となるのが、第1商品画像(サムネイル)です。
商品ページをどれだけ作り込んでも、サムネイルがクリックされなければ見てもらう機会は生まれません。
だからこそ、検索結果や広告の一覧で目に留まるサムネイルの設計が、アクセス数・売上に直結すると考えておく必要があります。
一方で、楽天には画像ガイドラインがあり、文字の面積・背景・枠線の有無などに細かいルールが設けられています。見栄えを良くしようと装飾を加えすぎると、表示制限やRPP広告の配信停止などのリスクがあるため注意が必要です。
そこで本記事では、楽天のサムネイル設計において、ガイドラインで押さえるべき要点やクリックされやすい構図と表現の工夫について解説します。
商品画像を見直してアクセス数を改善したい方は、ぜひ最後まで参考にしてみてください。
【本記事でわかること】
◎楽天第1商品画像の基本ルールとリスク
◎構図とメッセージの設計ポイント
◎制作・確認の具体的なステップ
◎テンプレート化とABテストで成果を伸ばす方法
目次
楽天商品画像ガイドラインで必ず押さえたいポイント

テキスト要素は20%以内に抑える
第1商品画像では、テキストの使用は「画像面積の20%以内」に収める必要があります。ブランドロゴや数字・記号を含むコピー、アイコン風の装飾もすべてテキストとして扱われます。
イメージとしては、10×10のマスで区切ったとき、20マス以内に収める感覚です。
テキストの盛りすぎを防ぐには、次のような工夫が効果的です。
| 【テキストを絞るためのチェックポイント】 |
| ・コピーは1つに絞る ・ロゴやバッジは必要最低限にとどめる ・価格や送料などは商品名や商品ページで補足する |
文字数を絞ることで、画像の主役である商品そのものを引き立たせやすくなります。
枠線・背景・GIFなどの装飾制限
装飾が過剰になるとガイドライン違反になるリスクが高まります。特に第1画像では、以下の点に注意しましょう。
| 【NGになりやすい装飾例】 |
| ・四辺を囲む枠線はNG(L字・帯状も枠とみなされる可能性) ・背景装飾としての幾何学模様・デジタルパターンは非推奨 ・アニメーションGIFは使用不可 |
目立たせるなら、第2画像以降でイメージカットや情報補足を行う方が安全です。第1画像はシンプルな構成を徹底しましょう。
画像サイズ・比率・容量の目安
楽天では「700×700ピクセル以上の正方形」が推奨されていますが、表示速度と画質のバランスを考えると、以下のスペックが扱いやすいです。
▷サイズ:1000~1200ピクセル前後(正方形)
▷容量:1MB未満(上限2MB)
スマホでの見え方を意識する場合は、以下もチェックしましょう。
| 【画像設定の目安】 |
| ・テキストはスマホでも読める大きさに ・圧縮しすぎて画像が粗くならないよう注意 ・比率は1:1を基準に揃える |
こうした前提を整えておくと、のちの制作や修正もスムーズになります。
サムネイルとサブ画像の役割分担と、違反時のリスク
サムネイル(第1画像)は検索結果やランキング、RPP広告で表示されるため、最も厳しい審査対象です。
ルールを守りながら訴求力を保つには、「サムネイルはシンプル」「サブで補足」と役割分担することがポイントです。
サブ画像では、以下のような表現が可能です。
| 【サブ画像で補える情報の例】 |
| ・使用イメージやサイズ感の説明 ・カラーやセット内容のバリエーション紹介 ・テキスト多めのメリット訴求 |
なお、ガイドライン違反が続くと次のような影響があります。
▷検索・広告での表示制限
▷商品修正の手間が発生
▷売上機会のロスにつながる可能性も
見た目を重視しすぎるより、長く安全に掲載できる「シンプルな設計」をベースに考えるのが理想です。
クリックされやすい楽天サムネイルの基本設計

視線の動きを意識して情報の優先順位を決める
クリック率を上げたいとき、まず整理したいのが「どの順番で情報を見てもらうか」です。
サムネイルには複数の要素がありますが、大きく分けると次の3つに集約できます。
・商品そのもの(形・色・質感)
・ベネフィットを伝えるテキスト
・ロゴやバッジなどの装飾要素
この3つのうち、最初に目に入ってほしいのは「商品」と「ベネフィット」です。ロゴは最後に認識されれば十分という前提で配置した方が、結果的にクリックされやすくなります。
スマホの検索一覧を例にすると、視線の動きは
中央〜やや右側の商品の形→左上〜中央のテキスト→四隅のロゴ
といった流れになりやすいです。
そのためレイアウトは、次の三層構造にしておくと視線が迷いません。
| 【サムネイル配置チェックリスト】 |
| ・中央〜右寄りに商品を大きく配置 ・左上〜中央付近に短いコピーを置く ・ロゴやアイコンは四隅に小さくまとめる |
この考え方さえ押さえておけば、どのカテゴリでも自然と読まれるサムネイルに整いやすくなります。
テキストは1つに絞り、「読める最小サイズ」から逆算する
「1枚1メッセージ」を実務で使うときは、スマホの検索一覧で無理なく読める最小量にすることが前提になります。
閲覧環境の約7〜8割がスマホというジャンルも多いため、最初から“スマホで読めるか”を物差しにすると無駄が減ります。
テキスト設計のポイントは次の3つです。
| 【テキスト設計のポイント】 |
| ・メインコピーは「◯◯向け」「◯◯が楽になる」など、誰にまたはどう良いかのどちらか1軸に絞る ・文字数は全角6〜10文字を目安にコンパクトにする ・画像内で商品が7〜8割を占めるようにトリミングする ・PCではなく、スマホの検索一覧で読めるサイズに設定する |
作り終えたら、一度登録してから実際にスマホで検索し、2〜3秒だけ眺めてみるのがいちばん確実です。
親指でスマホを支えながら見たとき、スッと頭に入ってくるかどうかが判断基準になります。
ジャンル別の構図テンプレート
サムネイル制作を効率化するには、ジャンル別の構図テンプレートを持っておくのが有効です。以下は代表例です。
| 【ジャンル別サムネイルのテンプレート】 |
| アパレル | ・基本型:上半身 or 全身を斜め45度で撮影し、シルエットを分かりやすく見せる ・バリエ型:生地の質感をアップで全面にし、端に着用カットを小さく重ねる ・セール型:基本型に短いコピー(まとめ買い◯%OFFなど)だけを追加する |
| コスメ・美容家電 | ・基本型:商品を中央に大きく配置し、手前にテクスチャや肌の一部を見せる ・悩み訴求型:「毛穴」「乾燥」など悩みキーワードでターゲットを絞る ・セット型:シリーズ商品を3点まで並べ、ライン使いを想像しやすくする |
| 生活家電・日用品 |
・基本型:キッチンや部屋の中で“使っている距離感”をそのまま撮る ・サイズ感型:手やテーブルなど、サイズ比較の基準になるものと一緒に写す ・機能訴求型:操作パネルのアップを薄く背景に入れ、手前に本体を大きく置く |
カテゴリーごとにテンプレ化することで、ブランドの統一感も出しやすくなります。
検索結果の中で埋もれないための工夫
楽天では競合商品と並んで表示されるため、検索結果の中で埋もれない工夫が必要です。
対策としては、以下のチェックを行いましょう。
| 【検索一覧で埋もれない構図を見つける手順】 |
| ・狙いたいキーワードで実際に検索し、1〜2画面ぶんをスクショする ・どの色・構図が多いかを把握する ・少数派の構図をサムネに採り入れる |
たとえば白背景+物撮りが大多数なら、生活感のある使用シーンを入れるだけで差別化できます。
逆に、生活感のある写真ばかりのジャンルなら、商品だけを大きく抜いたシンプル物撮りのほうが埋もれません。
一覧の中での立ち位置を把握してから構図を決めると、並んだときにクリックされやすいサムネイルが作りやすくなります。
今日から見直せる楽天のサムネイル制作手順

STEP1:撮影段階で「使える素材」をそろえる
良いサムネイルは「撮影」で8割決まります。素材が足りないと、加工で無理をしがちです。
撮影時に押さえておきたいポイントは以下の通りです。
| 【サムネイルの撮影ポイント】 |
| ・明るく均一な光で撮影(自然光または照明) ・三脚などで角度・距離を固定し、シリーズで統一感を出す ・単品/使用シーン/サイズ感がわかるカットを各1枚用意 ・背景は白や淡色の無地、または自然な実用シーン |
広めに撮っておけばトリミングもしやすく、使わなかったカットはサブ画像などで活用できます。
STEP2:レタッチは「明るさと色味」を整える
撮影画像はそのまま使わず、最低限の補正を行いましょう。
実物と違いすぎる色味はトラブルの元になるため、整える範囲はシンプルでOKです。
| 【サムネイルの補正手順】 |
| ・明るさとコントラストを調整し、見やすくする ・ホワイトバランスを整えて実物の色に近づける ・小さな汚れやホコリが目立つ場合のみ補正 |
「盛る」より「本来の魅力を正しく見せる」意識で仕上げましょう。
STEP3:テキストとロゴを載せるときのチェックポイント
整った画像にテキストやロゴを加える際は、ガイドラインと視認性の両立を意識します。
具体的な確認項目は以下の通りです。
| 【文字・ロゴ配置時の確認リスト】 |
| ・コピーは1つに絞り、短いフレーズに ・太めのゴシック系フォントで、スマホでも読みやすくする ・ロゴは隅に控えめに配置して主張しすぎない ・画像全体で文字の面積が20%を超えていないか確認 |
色使いは絞った方が統一感が出ます。主役は商品画像であり、文字はあくまで補足という意識が大切です。
STEP4:判定ツールとスマホで最終チェック
公開前には、ルールに適合しているか、実際に「伝わるか」をしっかりチェックしましょう。
まずは、以下の手順に沿ってチェックしておくと漏れにくくなります。
| 【サムネイルの公開前チェックリスト】 |
| ・楽天RMSの画像ガイドラインチェック(画像判定ツール)で、 テキスト量・装飾・枠線などがルールに沿っているかを確認する ・問題があれば、PhotoshopやCanvaで該当部分を修正する ・修正した画像をRMSに仮登録してプレビューを確認する ・PCとスマホ両方で、縦横比の崩れや背景の途切れがないかチェックする ・一覧の中で「一瞬で意味が伝わるか」を自分の目で確かめる |
ここまで確認すれば、ガイドライン適合と視認性の両面から精度を高められます。
チームで運用している場合は、他のメンバーに見てもらい「伝わりやすいかどうか」のフィードバックをもらうと良いでしょう。
サムネ改善を仕組み化する|テンプレートとABテストの活用法

ジャンル別に「使える型」を持ち、制作を標準化する
毎回ゼロから考えると、手間がかかるうえに品質もばらつきがちです。あらかじめジャンル別に構図テンプレートを用意しておくと、効率よく、ブレのないサムネイル制作が可能になります。
たとえば以下のように使い分けると便利です。
| 【サムネイル運用テンプレの例】 |
| ・通常用:商品単体+基本訴求1つ ・セール用:商品+SALEやポイント倍率などの強調表現 ・レビュー用:商品+評価件数やユーザーの声を短く添える |
ロゴやコピーの位置、商品サイズの比率などもテンプレート内でルール化しておくと、属人化を防ぎ、誰が作っても一定水準に仕上げられます。
簡易ABテストで検証・蓄積する
テンプレートを作ったら、どの案が実際にクリックされやすいかを数字で確認します。楽天に本格的なABテスト機能はありませんが、期間を分けてサムネイルを差し替えるだけで比較は可能です。
まずは、次の項目を記録しておくと判断しやすくなります。
| 【ABテストで記録したい項目】 |
| ・テスト期間(A案/B案) ・表示回数(インプレッション) ・クリック数 ・CTR(クリック率) ・サムネイルの特徴メモ(コピー/構図など) |
取り組み方は次のイメージです。
▷同じ商品のサムネイルを2案作り、1週間ごとに差し替えてCTRを比較
▷セール期間にだけ「キャンペーン型」に変更し、通常時との変化を見る
▷構図を変えた前後で、一覧での目立ち方やアクセス数の差を確認する
数値を小さく積み上げることで、どの構図が効果的か見えやすくなり、サムネイルの精度も上がっていきます。
楽天・サムネイルの作り方│まとめ
楽天のサムネイルは、ユーザーが最初に見る「商品の顔」となる重要な要素です。同時に、ガイドラインで厳しくチェックされる画像でもあり、ただ目立たせるだけでは済まされない設計が求められます。
まずは既存の商品画像をチェックし、改善余地があるものから順に見直してみてください。少しずつ見た目の統一感やクリック率の変化が見えてくるはずです。
ファイブスプリングスでは、楽天・Yahoo!などモール運営におけるサムネイル制作・LP設計・商品登録などの実務支援を行っています。
「どこから見直せばいいかわからない」「CTRやCVを改善したいけど手が回らない」とお悩みの場合は、テンプレ設計や制作フローの最適化からお手伝い可能です。
クリックされるサムネイルを、仕組みとして回せるように整えていきたい方は、ぜひ一度お問い合わせページからお気軽にご相談ください。
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太田 薫(おおた かおる)
株式会社ファイブスプリングス 代表取締役
元楽天ECコンサルタント、その後楽天MVP獲得店舗の統括部長。 ■無料相談■ |

















