2025.12.05
こんにちは、ファイブスプリングスです。
楽天市場で安定した売上をつくるためには、商品力だけでなく、広告費の使い方を戦略的に設計する必要があります。
自店に合った広告費を算出したうえで、店舗のフェーズに応じて最適な広告を選ぶことで、効率よく売上向上を目指せます。
そこで今回は、楽天市場での広告費の相場や、売上目標から最適な広告費を逆算する方法をわかりやすく解説します。
自店に合う楽天広告の選び方についてもあわせて解説するため、売上につながる広告費の使い方を知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
【本記事でわかること】
◎楽天市場の売上の方程式
◎楽天市場における広告費の費用相場
◎適切な広告費の算出方法
◎自店に適した広告の選び方
目次
楽天市場の売上の方程式

売上を伸ばすためには、まず「売上の仕組み」を正しく理解することが大切です。
楽天市場での売上は、下記の方程式であらわすことができます。
・アクセス数:商品ページに訪れたユーザーの数
・転換率:訪問したユーザーのうち、実際に商品を購入した割合
・客単価:ユーザーが1回の購入で支払う平均金額
・リピート率:一度購入したユーザーが、再び購入する割合
「転換率」や「客単価」は商品のジャンルや価格帯によって限界があるため、短期間で大きく伸ばすのは難しい場合があります。
一方で、「アクセス数」は工夫次第で大きく増やせる項目であり、その最も有効な手段が広告です。
楽天市場の広告を活用すれば、まだ自店を知らない多くのユーザーに商品ページを見てもらえるチャンスが生まれます。
楽天市場における広告費の費用相場

一般的に、楽天市場を含むEC業界全体では、「売上高の約20%」が広告費の平均値とされています。
一方で、EC以外の事業では広告費の相場は売上高の5〜10%程度が一般的であり、EC業界の広告費は比較的高めに設定されていることがわかります。
この背景には、広告によって多くのユーザーを商品ページに誘導し、そのまま購入につなげられるというEC特有の特徴があります。また、実店舗のようにスタッフが対面で接客や販促ができない分、広告予算を手厚くして集客や認知度アップに注力する必要がある、という事情もあります。
もちろん、広告費の適切な金額は店舗の売上規模や扱う商品ジャンル、出店の目的などによって異なります。
たとえば新規店舗や競合が激しいジャンルの場合は、さらに多くの広告費が必要になるケースもあります。一方で、リピーターが多い専門店や知名度の高いブランドでは、広告費を抑えても一定の集客が見込める場合もあります。
「売上高の20%」という数字は目安のひとつとして、自店舗の売上状況や今後の戦略に合わせて、無理のない広告予算を設定しましょう。
適切な広告費の算出方法

なんとなくの感覚で広告費を決めると、無駄なコストが発生しやすくなります。
限られた予算の中で最大限の広告効果を出すためには、売上や粗利率など、具体的な数値をもとに逆算して広告費を設定するのが合理的です。
自店に適した広告費は、以下の5ステップで算出できます。
| 【広告費の算出ステップ】 |
| 1.売上目標を決める 2.粗利率を把握する 3.利益として残したい金額を決める 4.手数料や送料、人件費などの各種コストを差し引く 5.広告費として使える予算を算出する |
1.売上目標を決める
まずは、どれくらいの売上を目指すのか具体的な数字を設定します。現状の売上実績や市場の成長性、今後の販促計画なども参考にしましょう。
2.粗利率を把握する
次に、粗利率を確認します。
粗利とは、売上から売上原価(売れた製品の仕入れにかかった費用)を差し引いたときに残る利益のことです。粗利率は、その粗利が売上全体に対してどの程度の割合を占めているかを示す指標です。
計算方法
・粗利率=粗利÷売上×100(%)
3.利益として残したい金額を決める
最終的に事業としてどれだけの利益を確保したいかを明確にしておきます。
4.手数料や送料、人件費などの各種コストを差し引く
楽天市場の手数料や商品の送料、人件費など、毎月必要となる経費をすべて差し引きます。
5.広告費として使える予算を算出する
残った金額が、実際に広告費として充てられる予算となります。この手順で計算すれば、「利益を削ってまで広告にお金をかけてしまった」という事態を予防できます。
実際の計算例
例えば、月商300万円を目標とする場合、以下のような流れで広告費を算出します。
1.売上目標:月商300万円
2.粗利率30%の場合:300万円 × 30% =粗利益は90万円
3.利益として残したい金額:月30万円
4.楽天手数料・送料・人件費などの固定コスト:月50万円
5.広告費として使える金額:90万円(粗利益)- 30万円(利益目標)- 50万円(固定コスト)=10万円
この場合、広告費として使える予算は月10万円となります。
自店に適した広告の選び方

楽天市場にはさまざまな広告の種類がありますが、どのような軸で広告を選べば良いのでしょうか。
ここでは、「新規出店」「売上拡大」「成熟」の3つのフェーズごとに広告の選定方法を解説します。
| 出店フェーズ | 特徴 | おすすめの広告例 |
| 新規出店 | ・楽天市場に出店したばかり ・多くの商品を配信して売り上げの底上げを狙う必要がある |
・CPA(効果保証型広告) ・楽天スーパーDEAL ・RPP(検索連動型広告) |
| 売上拡大 | ・売上やマーケットのシェアが拡大している ・顧客獲得やリピーター育成が必要 |
・RPP(検索連動型広告) ・クーポンアドバンス広告 ・TDA(ターゲティングディスプレイ広告) ・純広告 ・RPP-EXP(検索連動型広告-エクスパンション) |
| 成熟 | ・売上が安定しリピーターが定着している状態 ・マーケットシェアを維持しつつブランドや商品認知のさらなる拡大を狙いたい |
・純広告 ・RPP-EXP(検索連動型広告-エクスパンション) ・TDA-EXP(ターゲティングディスプレイ広告-エクスパンション) |
出店フェーズ1:新規出店
新規出店の段階では、まず店舗や商品の存在を知ってもらい、初回購入につながる導線を作ることが重要です。
この段階では、「CPA(効果保証型広告)」や「楽天スーパーDEAL」といった成果報酬型の施策を中心に運用する方法が適しています。いずれの広告も購入が発生したときだけ費用がかかるため、まとまった広告費を確保しにくい場合でも使いやすいのが魅力です。また、楽天スーパーDEALは高いポイント還元によって商品を魅力的に見せられるため、初回購入のハードルを下げる効果があります。
あわせて、商品の検索結果に広告を表示できる「RPP(検索連動型広告)」を補助的に取り入れることで、出店直後で自然検索に埋もれやすい時期でも効率よく流入を得られます。
出店フェーズ2:売上拡大
売上拡大フェーズでは、RPPを引き続き活用しながら、「クーポンアドバンス広告」や「TDA(ターゲティングディスプレイ広告)」を取り入れましょう。
クーポンアドバンス広告は、自社商品に関心を持ちそうな潜在ユーザーにクーポンを表示できる広告です。TDAは、年齢や性別、購入履歴、閲覧履歴などでユーザーをセグメントし、より自社商品に興味を持ちそうな層にバナー広告を配信できるのが特徴です。ターゲットを絞り込んで広告を配信することで、潜在的なユーザーを「興味層」へと育成できます。
また、幅広く認知を獲得するために「純広告」を活用するのもおすすめです。純広告には以下のようにさまざまな種類があるため、利用目的に合わせて選定しましょう。
| 【純広告の例】 |
| 種類 | 例 | 主な利用目的 |
| 大型イベント広告 | ・楽天スーパーSALE ・お買い物マラソン |
大型イベントで売上を最大化したい |
| シーズナル広告 | ・母の日特集 ・お中元特集 ・クリスマス特集 |
季節のイベントや季節商材で売上を最大化したい |
| ジャンル広告 | ・家電特集 ・インテリア特集 |
特定ジャンルに興味があるユーザーにアプローチしたい |
| ノンジャンル広告 | ・今日のイチ押し (楽天スマートフォン) ・24時間限定タイムセール (バーゲン市場) |
・楽天市場トップページからユーザーを獲得したい ・タイムセールやポイント購入のインセンティブをフックに購入意欲を高めたい |
さらに、楽天市場外に広告を配信できる「RPP-EXP(検索連動型広告-エクスパンション)」を活用することで、今まで接点のなかったユーザーにもアプローチできるようになり、新規顧客の獲得につながります。
出店フェーズ3:成熟
売上が安定してきた成熟フェーズでは、これまでの広告運用で獲得してきた顕在層だけでなく、さらに広いユーザー層に接触していくことが次の成長につながります。
この段階では、純広告に加えて、外部配信が可能な「RPP-EXP(検索連動型広告-エクスパンション)」や「TDA-EXP(ターゲティングディスプレイ広告-エクスパンション)」を取り入れるのがおすすめです。
楽天市場外のメディアに広告を配信することで、日常的に楽天市場を利用していない潜在層へもリーチでき、新規顧客の獲得や売上金額の向上が期待できます。
楽天で適切な広告費を算出する方法:まとめ

今回は楽天市場における売上の構造、広告費の相場、利益から逆算する予算設定の方法、自店に合う広告の選び方までわかりやすく解説しました。
広告費の相場や算出方法を踏まえたうえで、最適な広告を選び、効果を測定しながら運用を続けることで、無理のない形で売上拡大を目指せます。
ファイブスプリングスでは楽天市場での広告運用に関するアドバイスをはじめ、分析~戦略立案~実行まで一貫してサポートするコンサルティングサービスをご提供しています。
「最適な広告費がわからない」「広告の運用方法に悩んでいる」という方は、ぜひ一度お問い合わせページからお気軽にご相談ください。
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太田 薫(おおた かおる)
株式会社ファイブスプリングス 代表取締役
元楽天ECコンサルタント、その後楽天MVP獲得店舗の統括部長。 ■無料相談■ |


















