2025.12.18
商品点数が増えるにつれて、現場での大きな課題となるのが商品画像の管理です。
「あの画像どこ?」「差し替えたはずの画像が反映されない」といったトラブルが頻発していませんか?
EC運営において、画像ファイル名は単なるデータの名称ではなく、物流でいう「住所」に相当します。
リネームルールが整っていなければ、商品数が増えるほど管理は複雑化し、多店舗展開や在庫連携の大きな障害となります。
ここでいうリネームとは、画像ファイルにつけている名前を後から付け直したり変更したりすることを指します。
この記事では、Yahoo!ショッピングの仕様をベースに、楽天などの他モールでも活用できるリネームルールと運用のポイントを整理します。
多店舗展開を見据えた画像設定を整えておきたい方は、ぜひ参考にしてください。
【本記事でわかること】
◎楽天とYahoo!に共通するSKUと画像ファイル名の設定ルール
◎Yahoo!ショッピングの画像仕様とエラー回避のコツ
◎R-Cabinet内の整理と運用効率を高めるフォルダ構成例
目次
ナンバリング設定がEC運営の基盤となる理由

画像ファイル名やSKUのリネームは、EC運営において見落とされがちな要素です。
しかし、商品数が増えると、以下のような業務上の課題が顕在化します。
| 【主な課題】 |
| ・同じ商品画像が複数の場所に保存されている ・差し替えたつもりの画像が古いまま表示されている ・CSVで画像を一括登録しても、正しく紐付かない |
これらはすべて、SKUやファイル名に統一ルールがないことが原因です。
あらかじめルールを整えておくことで、作業効率や在庫連携の精度が大きく向上します。
ナンバリングを徹底すべき理由は、主に以下の3点です。
画像ファイル名はSEOにも影響する
Google画像検索などの外部検索エンジンでは、画像の内容を判断する際に「ファイル名」や「ALT属性(代替テキスト)」を読み取っています。
そのため、撮影時の自動名よりも、商品名や特徴を含んだ意味のあるファイル名に整えておくことで、検索経由の流入を得られる可能性が高まります。
NG例:DSC_0521.jpg(カメラ撮影時の自動名)
OK例:nike-airmax-90-white.jpg(商品名と特徴を含む)
なお、楽天市場内でのキーワード検索では、商品名やキャッチコピーなどのテキスト項目が中心とされ、画像ファイル名やALT属性は検索対象に含まれません。
ただし、Google検索や他メディアとの連携などを想定する場合、リネームルールを整えておく意味は十分にあります。
クリックされやすいサムネイルの作り方やテキスト配置については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
▶楽天サムネイルの作り方|ガイドラインを守りながらクリックされやすくするコツ
探す時間が業務コストになる
画像ファイル名が体系化されていない場合、目視での検索作業が頻発します。
「あのバナーの元画像はどこか」
「リサイズ前の高解像度画像が見つからない」
このようなやりとりが日常化すると、属人的な管理となり、担当交代時の引き継ぎにも支障をきたします。
リネームルールが整っていれば、ファイル名を見るだけで画像の用途や対象商品が判断でき、確認作業の効率が大きく改善します。
多店舗展開でのCSV連携ミスを防ぐ
楽天のみで運営している間は、柔軟なファイル名でも手動登録で対応できます。
しかし、Yahoo!ショッピングや自社ECなど、他モールに展開するタイミングで、画像名のバラつきが大きな壁となります。
画像名が統一されていない場合、商品移行時に一括変換作業が必要になり、最悪の場合は数千点の画像を手作業で修正し直すリスクもあります。
最初からモールの厳しい仕様に合わせてリネームしておけば、CSVで商品データを流し込むだけで画像の自動連携が実現します。
【Yahoo!基準が正解】画像ファイル名のリネームルール

Yahoo!ショッピングでは、画像の登録方法によって、ファイル名のリネームルールに対する制約が異なります。
画像一括アップロードや「商品画像」フォルダへの格納時には、商品コードと連動した正確なファイル名が求められます。
一方で、手動操作による登録では柔軟な対応も可能です。
一括登録・商品画像フォルダは【商品コード+連番】が基本
次のような操作を行う場合は、画像ファイル名が商品コードに準拠していなければ商品と自動的に紐付けされません。
◎APIやzipファイルでの画像一括アップロード
◎画像管理「商品画像」フォルダへの格納
ファイル名のリネームルール(自動紐付け時)
| 画像の種類 | リネームルール例 | 補足 |
| メイン画像 | abc-001.jpg | 商品コードと同一 |
| サブ画像 | abc-001_1.jpg 〜 abc-001_20.jpg | アンダースコア+1〜20の連番 |
| 使用可能文字 | 半角英数字、ハイフン(-)、アンダースコア(_)、ピリオド(.) | 全角・日本語・記号は不可 |
| 文字数上限 |
255バイト | 拡張子含む |
形式が正しければ、画像は商品に自動で紐付けられます。
形式が崩れると画像はどの商品にも紐付かず、アップロード後に非表示のまま残ってしまうケースがあります。
商品編集ページでは任意ファイル名でも登録可能
以下の方法で画像を登録する場合は、ファイル名が商品コードと一致していなくても表示されます。
◎商品編集画面へのローカル画像のドラッグ&ドロップ
◎追加画像フォルダにアップロードした画像を、商品編集ページで手動指定
◎商品説明文や画像URL入力欄に、任意画像のURLを直接入力
このような手動登録では、ファイル名に自由度がある一方で、ファイル名とSKUの関係が不明確になるリスクもあります。
Yahoo!基準に合わせれば他モールにも展開しやすい
楽天ではファイル名に対する制限が少ないため、柔軟な運用も可能です。
ただし、画像数が多くなると、検索性やデータ連携の観点からもリネームの統一は不可欠です。
Yahoo!のルールに準拠しておけば、モール間での画像再利用も容易になります。
| 【リネーム例と用途のイメージ】 |
| ・メイン画像:abc-001.jpg ・カラー展開:abc-001_1.jpg ・背面ショット:abc-001_2.jpg ・スマホ用画像:abc-001_sp.jpg ・バナー用画像:abc-001_bn.jpg |
このように、SKUをベースに画像ファイル名を統一しておくと、登録・差し替え・再利用すべての工程がスムーズになります。
楽天「R-Cabinet」を無法地帯にしないフォルダ整理術

R-Cabinetは、楽天市場で使用する画像を一元管理できる公式のストレージ機能です。
商品画像やバナーなどをまとめて保管できる一方、自由度が高いため、明確なルールを決めずに運用を始めると、画像数が増えるほど混乱を招きやすくなります。
ここでは、フォルダ設定とファイルリネームのルールを整備し、整理された運用体制を構築するための基本を解説します。
フォルダ構成はカテゴリとSKUを軸に設定する
画像を日付や担当者名で分類していると、時間の経過とともに目的のファイルが見つけにくくなります。
商品点数が増えた場合、過去画像の流用や差し替えに手間がかかる原因となります。
そこで推奨されるのが、商品カテゴリやSKU(商品管理番号)を基準にしたフォルダ階層の設定です。
| 【フォルダ階層の例(カテゴリ別)】 |
| cabinet/ _images/ __apparel/ ___tops/ ___bottoms/ ___onepiece/ |
| 【フォルダ階層の例(SKUの先頭文字で分類)】 |
| cabinet/ _images/ __nk/ ___nk001/ ___nk002/ |
SKUの前にブランドコードやカテゴリの略号を付けておくと、商品情報・画像・在庫をSKU単位でまとめて管理しやすくなります。
さらに、フォルダ構成がこのルールでそろっていると、次のような場面でもメリットがあります。
◎FTPで画像を一括アップロードするとき
◎一括登録ツールとデータを連携するとき
どのファイルがどの商品に対応しているかが一目で分かるため、ミスや手戻りを減らし、登録作業の効率も上げやすくなります。
フォルダ数・容量・画像数の上限を把握して運用する
R-Cabinetは便利な画像管理機能ですが、楽天の契約プラン(出店料)により用量やフォルダ数が変わります。
この仕様を把握せずに使い続けていると、ある日突然「画像が登録できない」「差し替えできない」といった問題に直面することもあります。
まずは、自社の出店プランごとの上限値を把握しておくことが重要です。
| 【スタンダードプランの例】 | |
| 項目 | 上限 |
| 総画像容量 | 100GB |
| フォルダ数 | 3,000フォルダ |
| 1フォルダあたりのファイル上限数 | 2,000ファイル |
容量やフォルダ数が不足してきた場合は、担当ECコンサルタントに相談し、プラン変更の申請を行います。
削除フォルダを放置しない
R-Cabinetでは、画像やフォルダを削除してもすぐに完全削除されるわけではありません。
一時的に「削除フォルダ」に移動され、最大10日間の保管期間が設けられています。
ただし、削除フォルダ内の画像も容量としてカウントされ続けるため「削除したのに容量が空かない」といったトラブルの原因になりやすいです。
| 【運用上の注意点】 |
| ・削除前に「本当に不要か」必ず確認する ・削除フォルダは定期的に手動で空にする ・重要画像(商品画像・バナーなど)は外部にバックアップする |
こうした運用ルールを整えておけば、容量オーバーや誤削除による登録ミスを防げます。
ファイル名が画像URLになる
R-Cabinetに登録された画像は、ファイル名がそのまま画像URLの末尾として使用されます。
そのため、リネームルールに一貫性がないと、CSV登録や広告クリエイティブでの管理が煩雑になり、修正作業にも時間がかかります。
| 【画像URLの構成例】 |
| https://image.rakuten.co.jp/店舗ID/cabinet/apparel/nk001_main.jpg |
この仕様を踏まえ、ファイル名だけで画像の内容と用途が明確に伝わるようにすることが理想です。
SKUに基づいたリネームをベースに、用途ごとに接尾辞(_1, _sp, _bnなど)を付けるルールを設けておくと、実務においても再現性が高く、運用の安定性を保ちやすくなります。
画像サイズとALT(代替テキスト)もルール化する
R-Cabinetでは、画像のファイルサイズやALT(代替テキスト)にも制限があります。
登録エラーや表示崩れを防ぐには、あらかじめルールを定めて統一管理しておくことが大切です。
ALT(代替テキスト)の仕様と運用のコツ
ALTは、画像の代替表示として使われるだけでなく、SEOやアクセシビリティにも関係する重要な項目です。
| 【ALTの仕様】 |
| ・文字数上限:全角127文字以内 ・構成:商品名+型番+用途や色 (例)防水リュック nk-001 ブラック ・注意点:絵文字や全角記号は非推奨 |
リネームと同様、ALTも簡潔かつ内容が明確に伝わる文言を用意することが基本です。
画像サイズと容量の実務基準
ファイルサイズが大きすぎると、モバイル表示での読み込み速度が低下し、ユーザー離脱の原因になります。
また、推奨ピクセルサイズを超えると、自動圧縮や画像の切れが発生する可能性もあります。
| 項目 | 基準 |
| 最大サイズ | 3840×3840px |
| 運用推奨 | 長辺1250px以内 |
| 容量 | 1〜2MB以内に圧縮 |
画像は軽く、ALTは短く明確にすれば、モバイル表示や読み込み速度の改善にもつながり、店舗全体の信頼感向上に役立ちます。
R-Cabinetに保存した画像をどのように特集ページやLPで活用していくかは、楽天コンテンツページの活用方法と作成手順をまとめた記事も参考にしてください。
▶楽天コンテンツページ活用入門│特集・セール・レビュー施策に使える基本機能と作成手順
まとめ:商品画像のナンバリングはEC運用の土台づくり

日々の販促や広告施策を支えているのは、画像や商品データといった目に見えにくい基盤の整備です。
なかでも、SKUと画像ファイル名・フォルダ構成を正しく設定することは、EC運営全体の精度や効率を大きく左右します。
| 【ナンバリングがもたらす主なメリット】 |
| ・登録や差し替え作業のミスが減る ・CSVや在庫管理ツールとの連携がスムーズになる ・担当者の交代や多店舗展開にも柔軟に対応できる |
こうした運用の強さは、日々のナンバリング設定によって生まれます。
今後の拡張やモール追加を見据えるなら、いまこそ画像管理の仕組みを見直す好機です。
ファイブスプリングスでは、現状分析からSKU設定・R-Cabinetの構築・モール横断の運用まで、EC運営の基盤づくりをプロが伴走しサポートします。
「画像が散乱していて整理できない」「複数モールのデータ移行に不安がある」
このようなお悩みがあれば、ぜひお問い合わせページからお気軽にご相談ください。
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太田 薫(おおた かおる)
株式会社ファイブスプリングス 代表取締役
元楽天ECコンサルタント、その後楽天MVP獲得店舗の統括部長。 ■無料相談■ |


















